勤務明けまであと数時間。疲労の中で考えたこと

勤務明けまで、あと数時間。
仮眠から目を覚ました瞬間、胸の奥で小さく「疲れたな」と呟いてしまった。
この仕事に就いてしばらく経つが、こう感じたのは初めてだ。

いつも仮眠は浅い。眠りに落ちても、どこか体がつっぱったまま、意識の端に緊張が残る。
だが今夜だけは違った。疲労が先に立ち、いつもより深く、意識がするりと暗闇に落ちた。
そのぶん、目覚めは重い。酒を飲みすぎた翌朝のような、内臓の奥からじわっとくる怠さ。
それを抱えたまま引き継ぎを終え、デスクに戻ってきたところだった。

この夜は、深夜帯の医療事務で独り立ちしてから初めて、14名を超える急患の受け入れ対応に追われた。
深夜の静けさや、病院特有の蛍光灯の冷たい光が時間の感覚を奪ってゆくなか、ただ淡々と目の前の処理を進める。
幸い、仮眠に入っている最中は一人も来なかったが、それも束の間。引き継ぎの最中に新たな急患が来て、気の抜けない状況がまた始まった。

そして、夜勤が終わる朝8時30分ぎりぎり。
すでに気持ちは「終わり」に向かっていたタイミングで、連続して新たに3名の急患が入った。
眠気も疲労もピークを迎える時間帯に、最後の追い込みのように処理が降ってくる。
だが、この3人の対応を終えて初めて、胸の底からふっと安堵が湧いた。
「今日も無事やりきれたな」
そんなささやかな達成感が、久しぶりに自分を肯定してくれた気がした。

疲労が溜まると、人は未来に弱くなる。
デスクに戻ると、ぼんやりとこれからの生活が頭をよぎった。
個人事業主として開業し、ウーバーイーツも始める。
いろいろ動き始めたのは確かだが、結局すべて“自分の体力に依存する働き方”だ。
もし病気になれば、その瞬間に生活が止まる。
言葉にすれば簡単だが、夜勤明けの身体ではそのリスクがいつもより現実味を持って迫ってきた。

考えた末に行きつく結論は単純だった。
このまま現状維持で走り続けるのは危険だ。
転職か、まずは蓄えを作るか。
どちらにせよ、動き始める準備だけはしておかなければいけない。

勤務を終えて病院を出ると、朝の空気は少しひんやりしていた。
胸の奥で細く残っていた緊張が、外に出た途端にゆっくりとほどけてゆく。
そのまま足が向かったのは、病院の近くの小さな祈りの場。
ここに立ち寄るのは初めてだったが、今夜の大人数の急患を無事に受け入れられたことへの感謝が自然と湧いた。
深呼吸をして軽く頭を下げると、言葉にできない疲れがすこしだけ抜けていくような気がした。

誰に認められるわけでもないけれど、
こうして一つひとつの夜を越えていくことで、ようやく自分の生活はつながっている。
弱さを感じた夜だったが、そのぶんだけ前を見る力もほんの少しだけ戻ってきた。

コメント

タイトルとURLをコピーしました